種あり巨峰
こもだ果樹園の種あり巨峰は、植物成長調整剤(PGR)を一切使用していません。

1. 種あり巨峰栽培で使われるPGR:フラスター(メピコークロリド)について
フラスター(メピコークロリド)は、ジベレリンの生成を阻害する植物成長調整剤(PGR)として農薬登録されています。種あり巨峰の一般的な栽培においては、枝の成長を抑制し、果実の成長を促進することで果実の品質を向上させるために使用されます。

こもだ果樹園ではフラスターを使用せず、剪定や細やかな栽培管理で果実の品質を安定させ、植物の自然な成長サイクルを尊重した栽培を行っています。

2. フラスター散布におけるリスクについて
フラスター(メピコークロリド)は、有機JASや特別栽培の認証を取得する場合、化学農薬使用とカウントされる薬剤です。フラスターは噴霧器で散布するため、土壌に浸透し、土壌生物の活動に影響を及ぼす可能性があります。一方、同じPGRであるジベレリンは花穂浸漬で処理するため、土壌に浸透せず環境リスクは低いです。

3. ジベレリンについて
ジベレリンは、植物の成長において細胞を縦方向に成長させる役割を持つ植物ホルモンです。種無しぶどうでは、ジベレリンにぶどうの花穂または果粒を浸漬することで種無し化と果粒の大粒化を行います。種あり巨峰は、開花後に花粉がめしべの先端(柱頭)につき、花粉管が伸長してめしべの胚珠内の卵細胞に到達し受精します。受精すると種子形成が始まり、胚珠内でジベレリンが生成され果実が肥大します。種無し巨峰やシャインマスカットのような種無しで大粒のぶどうにおいては、満開後直に花穂をジベレリン溶液に浸漬することで花粉管の伸長を止め、受精しないようにします。受精しないと胚珠内でジベレリンが生成されないため、2回目のジベレリン浸漬により果粒肥大を促進します。

4. 化学合成のジベレリンと自然のジベレリンの違い
化学合成のジベレリンは、特定の菌を培養し、その代謝産物を抽出して製造されます。自然のジベレリンは、植物における受精後の胚珠内や、若い葉・芽・茎、根の先端など植物の様々な部位で生成されます。

種無しぶどうには通常化学合成のジベレリンが使われます。

5. 健康リスクについて
化学合成のジベレリンを規定通りに農業で使用すれば問題ありませんが、過剰な使用や誤った使用は健康リスクを引き起こす可能性があります。自然に生成されるジベレリンは植物内で適切に調節されているため、通常は毒性がありませんが、植物全体のバランスが崩れると健康への影響が出る可能性があります。

こもだ果樹園では、美味しくて、より安全で健康的で、環境保護にも貢献できるよう、ぶどう栽培に取り組んでいます。

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